賃貸マンションの建設を検討するに当たり、構法の選定は非常に重要な意味を持ちます。
構法の中ではRC造(鉄筋コンクリート造)が最も賃貸マンションに適した構法であり、自信を持ってお勧めできます。今回はRC造が他の構法(木造・鉄骨造等)と比較して優れている点をご紹介します。
RC造は鉄筋の骨組みをコンクリートで包み込んだ、最も頑強で耐久性の高い構法です。強度的には、鉄筋の粘り強さとコンクリートの硬さ、それぞれの利点を両立させています。鉄筋そのものは非常に錆びやすい材料ですが、それをコンクリート(アルカリ性)で包み込むことにより錆び(酸化)を防ぎ、優れた耐久性を持ちます。その歴史は非常に古く、古代ローマの時代から存在し、中でも約2000年前に建設され現在まで存続している「パンテオン神殿」が有名です。現代においても、災害時には防災拠点としての役割も担う官公庁の建物や学校建築は多くがRC造で作られています。
RC造の特徴を「高強度・高耐震」「高耐久」「高耐火」「高気密」「高遮音」「高断熱」という6つのキーワードから説明します。
- 高強度・高耐震
RC造は建物構造を成り立たせる基礎・柱・梁・床・壁等個々の部材強度が高いだけではなく、現場で型枠にコンクリートを流し込み固めることにより、弱点となる部材同士の接合部や継ぎ目が一体化するため、非常に優れた耐震性能を有します。身近なところでは、橋梁や鉄道・高速道路の橋脚といった重要なインフラ施設に使用されていることから、その信頼性が推し量れます。一般的には木造や鉄骨造よりも耐震強度は高くなり、その分地震保険も比較して安価になります。 - 高耐久
RC造は、先述のように鉄筋の粘り強さとコンクリートの硬さを両立させた優れた構法です。それだけでは無く、それぞれの弱点を補う利点があります。鉄材は曲げる力に対して折れずに曲がりながら抵抗する、優れた粘り強さを持ちますが、露出した環境では非常に錆びやすいという弱点があります。また、コンクリートは非常に硬く押しつぶす力に対してほとんど変形しない材料ですが、限界値を超えると急激に脆くなり破壊してしまうという弱点があります。この2つの異なる特徴を持つ部材を組み合わせることにより、鉄材がコンクリートのアルカリ成分で保護され錆びにくくなり、強度的には硬さと粘り強さ両方の性質を持った構造となります。木造のように腐朽したり白蟻に食べられてしまうことも無く、適切な維持管理を行えば最も長持ちする構法です。 - 高耐火
RC造は最も耐火性能に優れた構法です。火災時の熱は900℃にも達し、内外装材のみならず構造材も熱に晒されますが、RC造は構造が全て不燃材料であり1000℃を超える熱に耐えることができます。木造の場合、構造木材は260℃程度で燃焼し、芯が燃え残りかろうじて躯体を維持するのみです。鉄骨は500℃程度で熱変形を起こし、倒壊する恐れがあります。RC造は、万が一火災が発生したとしても、被害は内装材と設備に留まり建物を再使用できる可能性が高くなります。その点を考慮して、火災保険も他の構法と比較して安価に設定されており、不動産投資としての経費の節減にもつながります。 - 高気密
RC造は現場でコンクリートを流し込み一体的に成型する構法のため、部品の組み合わせで作る木造や鉄骨造と違い、隙間がほぼ発生しないという利点があります。また、コンクリートは一旦硬化した後は膨張も収縮もしづらい材料のため、経年変化による隙間もありません。その結果、室内は安定して気密性の高い環境となります。唯一の弱点となるのが窓や玄関ドア、換気扇等の開口部です。その部分は十分に性能スペックを検討し、気密性能を極力落とさないように慎重に選定する必要があります。 - 高遮音
RC造の床・壁はコンクリートで造られています。コンクリートは非常に比重が高い(=重い)材料です。音は空気の振動であり、比重の高い材料は音を通しにくい性質があります。RC造はマンションの居住快適性を決める重要な要素である遮音性能についても優れています。上下左右の部屋の生活騒音が伝わりにくく、幹線道路や線路沿いの物件であっても屋外からの交通騒音等が聞こえにくい、非常に優れた構法です。防音室を作ることも可能となり、マンションの付加価値を高める提案となるでしょう。 - 高断熱
RC造は先述のように気密性が高いため、隙間風が入り込むといった外気の侵入が少ない構法です。また、床や壁に使用されているコンクリートは比重が重く、熱を貯めこむ性質があります(蓄熱性能)。外の熱や冷気をゆっくりと吸収し、ゆっくりと室内に放出していくイメージです。そのため、外気温の直接的な影響を受けづらく、適切な断熱材と空調設備と組み合わせることにより、年間を通して安定した室内環境が得られます。
水上建設では、土地の有効活用のご提案からRC注文住宅についてのアドバイスができます。ぜひ水上建設へご連絡ください。