思い出して下さい。サッカー、バレーボール、野球、といったスポーツも、映画や舞台といった文化活動等も全て「監督」と呼ばれている人が結果に対して全責任を負っています。家づくりにおいても全く同じです。現場を預かり責任を負うのは監督なのです。
欠陥住宅が多くなってきている原因の一つに監督の知識不足が挙げられます。本来監督は現場代理人といって、会社を代表する社長の代理なのです。それだけ責任の重い仕事です。
しかし、監督の仕事を軽く考えている会社が多いように思います。「監督なんてただの段取り屋さ、人の手配と資材の調達さえきちんとしてくれたらいいんだ」くらいにしか考えていません。営業第一になってしまっているのです。家は売り物で、営業マンさえ優秀なのがいればいい、「売って売って売りまくれ」という世界なのです。
私はとても疑問に思います。契約する意思を固めたら、是非あなたの大切な家を管理する監督を紹介してもらって下さい。そして、質問してみて下さい。
1.コンクリートの強度はどのくらいですか?
2.鉄筋の種類はなんですか?
3.工事の中でどこに気をつけて管理していますか?
この程度の質問でも答えられたらあなたは一安心です。任せられる監督です。
なぜなら監督が住宅に対する知識を持っているからです。後は、あなたの家を熱意をもって管理してくれるかどうかを見抜くだけです。手抜き工事と呼ばれているものの多くは、うっかりミスによるものです。そのうっかりミスを発見するのが監督の仕事なのです。ただ現場に来て、マニュアル通りにチェックしていくだけでは、うっかりミスの発見はできません。
もう一つ大切なことは、「資格を持っているか」です。
あなたの家を監督する人に、建築士または施工管理技士の免許を持っていますかと訊ねてください。なぜこんなことを言うのかというと、あまりにも素人の監督が多く、それが原因で欠陥や手抜きが発生しているからです。
もちろん資格を持っているか、持っていないか、だけでは監督の良し悪しは決められません。ではなぜ資格が必要なのかといえば、要は建築を学び知識を得ていることの一つの証明となるからです。それが最低限必要なことであり、大切なことなのです。
考えてみれば当たり前の事です。人の命や生活を支えていく家を監督するのですから、それなりの勉強をしなければならないのです。大きな責任と義務があるはずです。監督が力のない人間のとき、営業マンは「私がついていますから大丈夫です」と言うでしょう。
何が大丈夫なものですか…と思います。
その言葉を信じて泣いた家族を何家族も知っています。営業マンのただの決まり文句なのです。犬がワンと吠えるのと同じです。それしか言葉が無いから言うだけで、特に意味も重みもありません。
あなたの家を管理する監督の重要性を再確認してください。監督は、全ての責任を負って、あなたの家を管理し引き渡すのです。何度も言いますが、家づくりにおいて最も重要なのは、現場の作業です。大手プレハブメーカーはこう言うでしょう。
「住宅部材は工場生産なので、精度がよく安心です」
しかし、考えてみて下さい。どんなに高精度の部材も組み立てるのは人間です。たった一本ボルトを締め忘れた為に重大な問題になる事があるのです。しかも現場作業はその時々の気候に大きく左右されます。つまり、大手住宅メーカーでも、工務店でも、現場管理が家の良し悪しを決めるということなのです。
次回は「家づくりを成功させる秘訣 見学会」についてお伝えします。
お読みいただきありがとうございした。